Smart Cool System — Die Casting

高度成形に応える熱管理基盤を、
冷却設計からクリアに。

600℃を超える過酷な熱負荷に晒されるダイカスト現場では、金型温度のわずかなブレや水管詰まりが、ポロシティ(巣)・焼き付き・サイクル遅延へと直結します。部位に応じた適切な熱引きを叶えるため、要因が複雑に絡み合う冷却環境を体系的に整理し、安定した熱管理基盤を設計。既設設備を有効活用する部分的な改善から冷却インフラの一括最適化まで、現場の操業を止めない柔軟なプランで高度成形を支えます。

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±1℃
通年の水温安定
→ 狙い通りの金型熱制御を維持
流路保全
スケール・錆対策
→ 冷却管閉塞による熱引きの偏りを防ぐ
17%
CO₂排出量削減

※ モデル試算値。設備構成・稼働条件により異なります。

Page Guide

SCSで実現できること

SCS(スマートクールシステム)は、単なる冷却機器の集積ではなく、鋳造における「冷却」を再現性のある確実な工程として確立するための設計思想です。本ページでは、自社の操業環境に合わせたシステム構成の選び方から、トラブルを防ぐ制御構造、具体的な導入プロセスまでを整理しています。

現場に合わせた改善アプローチの選び方

既存の一次側冷却設備や熱源を活かしてマシン周辺から改善する「部分導入(段階導入)」から、工場全体の冷却インフラを一元管理する「一括最適化」まで、自社の投資計画や操業条件に応じた選択肢をご確認いただけます。

水質改善・保全負荷の低減

水管詰まりやコアピンの焼き付きを引き起こすスケール・錆に対し、RO膜処理や水処理ユニットがどのように作用し、メンテナンスや清掃の手間を減らすのかをご確認いただけます。

SCSの制御構造(3層構造)

セントラル(熱源)・エッジ(ダイカストマシン周辺)・コネクト(監視)の3層が連携し、冷却水の水温・水圧・水質・水量を設備レベルでどう安定化させるかをご確認いただけます。

Which Approach Fits You?

改善アプローチの選択

冷却改善のアプローチは一つではありません。既存の一次側冷却設備・熱源の状況や、直面している課題の深刻度、ご予算・設備投資計画に応じて、最も費用対効果の高い選択肢が変わります。ここでは代表的な2つのアプローチをご紹介します。

工場全体の基盤を一元管理
APPROACH A

工場全体の一括最適化(SCS)

一次側の熱源からマシン周辺の二次側回路まで、工場全体の冷却インフラを一括で再設計。水温・水圧・水質・水量を統合的に制御し、季節や外気温に左右されない安定した冷却環境を構築します。

こんな改善計画・ご状況におすすめ
  • 老朽化した冷却設備を一括更新し、工場全体のトラブルを根本から減らしたい
  • 季節や外気温による冷却のブレを無くし、鋳造品質を年間通して安定させたい
  • 不良発生に伴う再溶融・手直し工数を削減し、ラインの稼働率を上げたい
  • 工場全体の無駄な電力・水使用量を削り、光熱費とCO₂を削減したい
  • トラブルの原因をデータで特定し、現場の管理・点検の手間を減らしたい
既存設備を活かして段階的に改善
APPROACH B

マシン周辺からの部分導入(二次冷却)

既存の一次側冷却水系(熱源・クーリングタワー等)はそのまま活かし、ダイカストマシン周辺の冷却回路を独立させてピンポイントで改善。一次側の水質悪化や水圧変動をマシン側に持ち込ませず、初期投資を抑えながら確実な改善効果を引き出します。

こんな改善計画・ご状況におすすめ
  • 既存の一次側冷却設備は活かし、初期投資を抑えて直近のトラブルを解消したい
  • 金型水管のスケール詰まりや中子ピンの焼き付きなど、成形現場のトラブルを優先改善したい
  • 特定の重要ラインから段階的に導入し、冷却効果を確認しながら改善を進めたい
  • 一次側の水質悪化や水圧変動をマシン側に持ち込ませず、成形品質を安定させたい
  • 将来的な工場全体の最適化を見据え、まずはスモールスタートしたい

初期投資を抑えた二次冷却から導入し、将来の設備更新時期に合わせて工場全体の一元管理(SCS)へスムーズに拡張できます。

Secondary Cooling System

二次冷却システムの仕組み

熱源側の一次冷却水とマシン側の二次冷却水を物理的に分離。水質悪化や水圧変動といったトラブル要因をマシン側の回路へ持ち込ませないシステムです。

System Flow — Secondary Cooling

原水 水道水・井戸水 工業用水等 水処理 軟水器 前処理フィルタ RO膜 (後貯水) 薬注 砂濾過 一次側冷却 既存冷却装置 冷却塔・チラー等 二次側冷却 熱交換器 PTU ポンプタンクユニット P P ダイカストマシン 金型・オイルクーラー・ スリーブ等

熱源側とマシン側の系統を分離し、
現場へのトラブル持ち込みを遮断

一次側の冷却水はマシンへ直接流さず、熱交換器を介して「熱」だけを移動。既存の熱源設備を活かしたまま、マシン側の冷却回路をクリーンな状態に保ちます。

01
RO膜処理水による循環回路の清浄化

マシン側の回路はRO膜処理を施した清浄水で循環。スケール成分や錆の要因物質を大幅に低減するため、金型水管の詰まりや中子ピンの焼き付き・折損リスクを抑制します。

02
低圧・高圧系統の一括制御と共通化

低圧・高圧の複数系統や複数台のマシンを1台のシステムでまとめて制御。コンパクトな省スペース・省エネ設計により、初期投資や設置コストを抑えつつ冷却品質を安定化させます。

03
バックアップ切り替えによる継続運用

バックアップ切替機能を備えているため、点検・清掃時も生産ラインを止めることなく運用が可能。多くの導入企業様において、生産継続性の向上に貢献しています。

04
耐食性に優れた樹脂配管構造

二次冷却の回路には耐食性に優れた樹脂配管を採用。金属配管のような錆の発生や詰まりリスクを極限まで減らし、長期にわたりメンテナンスフリーな環境を維持します。

How SCS Works

SCSの3層構造

セントラル・エッジ・コネクトの3層が連携することで、工場全体で冷却水の水温・水圧・水質・水量の最適化を図ります。

SCSの3層構造 システム全体図。セントラル機器(水処理ユニット・タンクユニット・熱源ユニット・防錆剤注入装置)、エッジ機器(小型ポンプタンクユニット・専用金型温調機)、コネクト機能(遠隔監視・エネルギー指数化・異常検知)の3層でダイカストマシンへ冷却水を供給する構成。
Layer 1 ─ Central

セントラル機器

屋外〜機械室

  • 水処理ユニット
    軟水機やRO膜等を組み合わせ、原水を「スケールが発生しにくい高品質な冷却水」へ整える
  • ポンプタンクユニット
    高温槽と低温槽に分けて管理し、工場全体へ供給する冷却水の温度を一括で制御
  • 熱源装置(空冷式チラー / フリークーリングラジエータ)
    単体またはハイブリッド構成に対応。外気温に左右されず水温を年間通して一定維持するとともに、中間期・冬場は外気を効率よく活用して電気代コストを削減
Layer 2 ─ Edge

エッジ機器

マシン周辺

  • 小型ポンプタンクユニット
    セントラルからの冷却水を各マシンに最適な水温・水圧で分配
  • 専用金型温調機
    金型ごとに独立した温度制御を行い、鋳造品質の再現性向上をサポート
  • 専用冷却水マニホールド
    各冷却回路の流量を個別に計測・調整し、供給の偏りや流量低下を防止
Layer 3 ─ Connect

コネクト機能(IoT・見える化)

ComPass®

  • 遠隔監視・稼働ログ
    全設備の水温・流量・水圧・水質をリアルタイムで遠隔モニタリング
  • エネルギー指数化
    電力・水使用量を定量化し、省エネ報告・改善活動に活用
  • 異常の早期検知
    トレンド監視により突発的な停止リスクを低減し、トラブル発生時の原因特定を迅速化
ComPass®

遠隔監視モニタリングサービス
各設備に設置したセンサーや機器の稼働状況を、Webブラウザ上でリアルタイムに遠隔モニタリング。一定期間蓄積されたログデータ(CSVダウンロード対応)を参照・分析できるため、万が一の不具合発生時も「冷却水の状態が原因かどうか」をデータに基づいて迅速に検証・特定できます。

Water Quality Control

水質改善の仕組み

開放型クーリングタワーでは、水の蒸発に伴い成分が濃縮されてスケールが発生します。また、外気と直接接触することで水中に酸素や不純物が大量に溶け込み、配管や金型水管の錆(腐食)を加速させます。金型水管の詰まりや中子ピンの焼き付きが頻発する場合、こうした循環水の水質悪化が根本的な原因となっている可能性があります。SCSは、RO膜処理をはじめとする水処理プロセスにより不純物を極限まで除去し、トラブルを起こさない清浄な水質を維持します。

クーリングタワーでの水質変化(実測データ例)

分析項目一次側原水CT循環水変化
電気伝導率182 μS/cm1,257 μS/cm約13倍
塩化物イオン15.4 mg/L198 mg/L約13倍
全硬度(スケール源)102 mg/L398 mg/L約4倍
酸消費量36.4 mg/L128 mg/L約3.5倍
全鉄(腐食の指標)0.2 mg/L検出あり増加

全硬度が4倍に濃縮されると、金型水管内でスケールが析出して流路を圧迫します。さらに腐食成分の増加は、中子ピンの腐食や金型水管の穴あき・水漏れといったトラブルに直結します。

出典:カンネツ社内測定データ(2020年10月)

SCSの水処理プロセス

01
軟水処理(硬度成分の除去)

カルシウムやマグネシウム等の硬度成分をイオン交換樹脂で除去。水管内で加熱・濃縮されても結石・析出しにくい「軟水」へ変換し、スケール詰まりを防ぎます。

02
RO膜処理(微細不純物の除去)

逆浸透膜(RO膜)により、シリカ・塩分・有機物などの微細な不純物を除去。スケールや腐食の原因物質を極限まで低減した清浄水をつくります。

03
防錆剤注入(防錆皮膜の形成)

RO膜処理済みの清浄水に適量の防錆剤を注入。溶存酸素等による配管や金型水管の酸化を抑え、中子ピンの腐食や水管の穴あき・水漏れリスクを低減します。

04
物理ろ過処理(浮遊物・スラッジの除去)

砂ろ過装置やサイクロンフィルタ等により、配管内から剥離した微少なスラッジや浮遊物を物理的に除去。水路の閉塞を防ぎ、安定した水質を維持します。

Performance Data

数値で見る導入効果と比較

工場全体の冷却環境や解決したい課題によって、最適なアプローチは異なります。ここでは「開放型クーリングタワー」「二次冷却システム」「SCS」の3つの特徴や効果を項目別で比較しています。自社に最適なシステムをご検討いただく際の判断材料としてお役立てください。

±1℃
通年水温精度(SCS)
CTは年間±15℃以上変動
97%
水使用量削減(SCS)
蒸発損失がゼロに
17%
CO₂排出量削減(SCS)
省エネ効果による
比較項目 クーリングタワー(CT) 二次冷却システム SCS(全体最適化)
水温管理精度 外気温依存・年間±15℃以上 マシン側は改善(CT送水温度の変動幅に依存) 年間±1℃以内
金型水管のスケール 詰まり・腐食が発生 二次側で改善 工場全体で改善
中子ピン保護 保護なし 防錆剤で保護 防錆剤で保護
メンテ中の稼働継続 停止が必要 バックアップ切替で継続可 バックアップ切替で継続可
初期投資規模 既存設備を継続使用 中規模(マシン側のみ) 大規模(工場全体)
省エネ・CO₂削減 効果なし 一定の効果あり 最大35%削減
遠隔監視(ComPass®) 非対応 オプション対応 標準搭載

※ 上記はモデル試算・一般的傾向に基づく比較です。現場条件により異なります。詳細は現地調査にてご確認します。

Introduction Process

導入の流れ

お問い合わせから安定稼働まで、水質分析・設計・製造・施工・アフターサポートまでカンネツが一貫して対応します。

01
無料

お問い合わせ・現場調査・水質分析

お客様の現在の冷却設備状況、鋳造ラインの運用条件、ご要望をヒアリング。循環水の水質分析や設備調査を行い、スケール・錆・温度変動などの課題を定量的に把握します。

02
2〜3週間

システムのご提案・概算提示

現場環境(設置スペース・熱源容量・対象マシン数)に合わせてシステムを設計。工場全体の一括構築から、特定ラインや水質改善(一次側)からの段階導入まで、ご予算・計画に応じたプランと導入効果の目安をご提示します。

03
ご成約後

詳細設計・製造

決定した導入プランに基づき、詳細な仕様設計を実施。設計から製造まで自社一貫体制で行うことで、高い品質管理と確実な納期管理を実現します。

04
自社管理・施工

設備搬入・据付工事

生産ラインへの影響を最小限に抑える施工計画を立案。既存ラインの稼働を止めない順次切り替え工事など、現場の稼働スケジュールに配慮して据付・配管工事を行います。

05
安定稼働まで

試運転・チューニング・引き渡し

水温・水圧・流量を実測しながら、目標とする冷却条件に合わせて微調整(チューニング)を実施。安定した冷却環境が構築されたことを確認した上で引き渡し、稼働後もスムーズな運用をサポートします。

FAQ

よくあるご質問(技術・導入編)

Q 冷却の課題について、どこから改善を着手すべきか分かりません。 +

現状の水質・設備状況、将来の投資計画に合わせて最適なアプローチをご提案します。解決すべき優先課題(トラブル防止・水質改善・省エネなど)や、設備更新の予定時期などによって最適な構成は異なります。まずは現場調査で課題を定量的に把握したうえで、比較検討や段階移行プランをご提示しますのでお気軽にご相談ください。

Q 複数台のダイカストマシンを1つのシステムで管理できますか? +

可能です。親となるシステム設備から各マシン周辺のユニットへ冷却水を分配し、一括で一元管理できます。マシンの台数・冷却負荷・設置レイアウトに合わせてシステム規模を柔軟に設計します。現場調査の際に、対象台数や稼働スケジュールをお知らせください。

Q 既存のクーリングタワーはすぐに撤去する必要がありますか? +

すぐに撤去する必要はありません。既存設備を併用・バックアップ活用しながら導入可能です。クーリングタワーを残したままマシン側の水系だけを先行改善することも可能です。また、新システム導入後もバックアップとして残す設計に対応できるため、撤去時期は現場の運用に合わせて柔軟に対応します。

Q 中子ピンの焼き付き問題は本当に解決できますか? +

水質悪化(腐食・スケール)や冷却不均一が原因である場合、水処理と安定供給により大幅な改善が見込めます。RO膜処理による清浄水循環と防錆剤の適用で、腐食や水管閉塞に起因する焼き付きリスクを低減します。※金型設計や鋳造条件自体に要因がある場合は、あわせて条件の調整が必要となります。

Q 冬場の凍結対策にも対応していますか? +

対応しています。設置場所の外気温や水温を検知し、自動で最適な凍結防止制御を行います。成形ラインの停止中(夜間・休日)でも、外気温や水温の低下(外気8℃以下・水温5℃以下など)を検知してポンプを自動運転(強制循環)させ、流体の滞留を抑えます。さらに循環量の調整やタンク内ヒーターを自動で組み合わせることで、冬場の凍結リスクを防止します。

Q 離型剤の使用量にも影響しますか? +

金型温度の安定化に伴い、離型剤の過剰塗布を抑えて適正化(削減)につながるケースがあります。水温や流量が安定することで金型温度のばらつきが抑えられ、スプレー塗布のムラが減り、離型剤使用量の削減と品質向上の両立が期待できます。
※削減幅は金型構造やスプレー条件により異なります。

Contact

高度成形に応える熱管理基盤を、
冷却設計からクリアに。

「工場全体の熱管理基盤」の構築は、現状の水質分析や設備確認でトラブルの真因をクリアにすることから始まります。構想は全体最適を描きつつも、着手は特定ラインやマシンからのスモールスタートで十分です。貴社の優先順位やご予算に合わせて、最適なアプローチをご提案します。

「大がかりな設備刷新が必要か決まっていない」検討初期の段階でも構いません。まずは現状の課題整理からお気軽にご相談ください。

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